音はゲームの世界づくりの半分です。
Umi と申します。東京を拠点に、音楽とサウンドをつくっています。
十年前、企業向けの ERP システムを作る IT 会社を辞めて、ゲームや映像、広告のための 音楽・サウンド制作の世界へ飛び込みました。
理由は単純で、音と音楽がどうしようもなく好きだったからです。それに、多少の素質も あったのだと思います——一度耳にした音楽も、頭に浮かんだ音楽も、たいていは苦もなく パソコンの上で形にできてしまいます。根っからのゲーム好き・映画好きでもあり(そして 相当な『バイオハザード』ファンでもあります)、音楽とサウンドがゲームや映像、広告の 中にひとつの世界を立ち上げてしまう——あの魔法に、ずっと惹かれてきました。同時に、 コンピュータや新しい技術への好奇心も、いまだに尽きることがありません。だから私に とって、この転身はごく自然な成り行きでした。いえ、「本来やるべきことへの回帰」と 言ったほうが、きっと近いはずです。
そのとき、自分にひとつの約束をしました。「十年以内に、自分の名前を 映画館のスクリーンか、ゲームのクレジットに載せられなかったら、この道の才能が ないということ。潔くあきらめて、普通の会社員に戻ろう」と。——どうやら、多少は向いていた ようです。その目標は、四年で叶いました。
以来の十年、自分の手でゲームや映像、広告の音楽とサウンドデザインを手がけながら、 同時に外注側の music / sound director として、大手ゲーム会社のプロジェクトと、 世界各地の優れた作曲家たちのあいだを行き来してきました。そしてその中で、同じ場面が 何度も繰り返されるのを目にしてきました(映像や広告でも、話の筋はまったく同じです)。
プロトタイプは、見た目は申し分ありません。遊んでも申し分ありません。それなのに、 全体の「響き」だけが、どうにもしっくりきません。プロデューサーは音まわりには あまり詳しくありません。 チーム内にインハウスの作曲家はいません。テクニカル・サウンドの担当は、実装は こなせても音楽・サウンドそのものは作れません。ふさわしい作曲家も見つかりません。 体系立ったオーディオ設計のプランもありません——結果として、ゲームオーディオは いつも後回しにされます。音楽は 駆け込みでライセンスされ、テンションはろくに設計されないまま、すべてがリリース 直前に慌てて継ぎ合わされます。専任のオーディオ企画職を置いた大規模プロジェクトで さえ、作曲家に渡される発注内容は曖昧で不十分なことが多く、やり直しが何度も 重なって、双方の気力と根気をすり減らしていきます。
プロ級の音を出すために、ゲームチームが——とりわけインディーのチームが——まず オーディオ設計の達人になり、作曲家になり、ミドルウェアの専門家にならなければ いけない——私は、そうは思いません。オーディオは、最後の「仕上げ磨き」でもありません。 ゲームにおいて、音はデザインと世界観の半分を担っています。たとえばサバイバル・ ホラーなら、床下から聞こえるたった一つの音が、ビジュアルと同じだけの仕事を しています。 まして、オーディオがプロトタイプの、ゲームの開発全体の後半に回されて当然だとは、 少しも思いません——ビジュアルと同じように、企画の早い段階から関わり、世界 づくりに本当の意味で貢献するべきものです。(正直に言えば、自分で曲を書ける、あるいは音楽を 心から理解しているプロデューサーが手がけたゲームは、音楽がより強く心をつかむだけ でなく、作品そのものが深く記憶に残ります——『スターデュー バレー』『ギルティギア』 『サイレントヒル』。どれもそうでしょう。)
音楽とオーディオの設計・企画を、開発のもっと早い段階から取り込むこと。そこには、 まだ十分に評価されていない価値があると、私は信じています。そしてチームの規模に かかわらず、どんなチームにも等しく「音を早くから迎え入れる」機会があっていい——私はそう信じています。
それが、SCG Audio が存在する理由です。
ゲームオーディオの外注側で長年 music / audio director を務めてきた視点に、現場での 音楽制作の経験を重ねて——私はゲームチームに、とりわけ中小・インディーのチームに、 「すぐに音を鳴らしはじめられる」音楽 / オーディオ設計を届けたいと思っています。 すべては「そのまま動くひとまとまり」として届きます。コンテンツ、ステートマシン、 ランタイム、デモシーン、ドキュメント——いずれも試聴で検証済みで、エンジンに入れれば すぐに動きます。WAV ファイルの詰め合わせではなく、その日のうちに聴けて、その日の うちに手を入れられる「音の方向性」そのものです。あなたのゲームに本当に合う音楽と サウンドを、より早く見つけるための出発点です。
そして、既製のパックだけでは物足りないときは——体系立ったカスタムのゲームオーディオ / 音楽デザインも、コンテンツ制作の外注も、SCG Audio がお引き受けします。いわゆる 「和ゲー」らしいゲーム音楽は、とりわけ得意としています。何か思い描いているものが あれば、let’s have a talk。
テーマが増え、モジュールが増え、設計が磨かれ、つくり手が増えても——約束はひとつ、動く状態で届くゲームオーディオ。
Survival Horror は最初のプロダクトラインであって、これひとつにとどまりません。 このラインが証明したパターン——テーマを持ったコンテンツ、音楽設計、ツール統合を ひとつのパッケージで届けること——は、これからさらに多くのジャンルへ広げていきます。
当面の方向は三つです。より多くのジャンルへ:他のタイプのゲームにも同じ アプローチを届けます。より多くのツールへ:現在は Unity Native 版と FMOD 版を提供しており、Wwise 版を制作中です。そしてより良い統合ワークフロー: インポーター、インスペクター、ドキュメントを磨き、「買った」から「自分のビルドで 鳴っている」までの距離を縮め続けます。
目標は、オーディオファイルをより多く売ることではありません。小さなチームが、 ゲームがまだ柔らかい粘土のうちにサウンドの方向性を決め、その日のうちにエンジン内で 検証できるようにすること——最後の一ヶ月になって初めて自分のゲームの音を知る、という 事態をなくすことです。
長期的には、SCG Audio はこれらのパックを「プロトタイプオーディオ」と「カスタム制作」を 結ぶ、より明確な橋にしていきたいと考えています。パックから始めて方向性を見つけ、 ゲームがパックを超えて育ったとき、オーダーメイドの音楽への道はすでに敷かれている—— そういう存在です。
さらにその先には、オーディオ制作の外注が長らく抱えてきた課題があります—— 要件が十分に定義されないまま進むこと、依頼する側とつくる側で同じものの捉え方に ずれが生じること、スケジュールがたびたび後ろ倒しになること。SCG Audio はこうした 課題にも正面から取り組みたいと考えています。両側のつくり手が、繰り返される連絡や 進行の調整に消耗するのではなく、作品そのものに力を注げるように。